多細胞ダイナミクスは、胚発生、がん疾患、創傷治癒、代謝など、様々な生命現象に見られます。これらの原因となる遺伝子やタンパク質はそれぞれ異なりますが、一方で、これらの多細胞ダイナミクスには共通した性質や振る舞いが見られます。この多細胞ダイナミクスを支配する原理とはどのようなものでしょうか?
生物の形作りでは、1つ1つの細胞が多種多様な方法で相互に作用します。この複雑な現象を理解するため、胚組織を試験管内で再現する幹細胞オルガノイドや、多細胞の動態を予測する力学シミュレーションなど、生物学、物理学、工学などの技術を融合した新規アプローチに取り組んでいます。
私たちの研究アプローチは、分子・細胞レベルに見られるミクロな振る舞いを統合して、組織・器官レベルのマクロな形作りをボトムアップに理解し予測するものです。これにより、幅広いスケールに渡る多細胞の振る舞いを1つのシステムとして捉えた、包括的な理解や人為的な操作を目指しています。
世界の情勢は大きく変化し先行きの見えない時代ですが、だからこそ面白くもあると思います。学生の皆さんには、基礎研究の楽しさと大切さを知り、社会一般に通用する個性と言葉を磨き上げて、世界へ飛び立って欲しいと思っています。ぜひ一緒に研究しませんか? →RECRUITMENT
2019年4月にスタートした新しい研究室です。自由かつ真剣に研究できる研究室を目指しています。一緒に研究に取り組んで下さる学生の皆さん、技術スタッフ、教員を募集しています。最新の情報や詳しい研究内容などを知りたい方はぜひご連絡ください。 →RECRUITMENT
開発中の計算力学手法、AFM計測技術、オルガノイド培養技術を軸に、大学、国研、民間企業の皆様と共に、基礎から応用までの幅広い共同研究を展開しています。小さなラボですので資源は限られますが、面白そうな課題があればぜひご相談ください。 →CONTACT
この研究室では、学部生、院生、研究員、教員の一人一人が、それぞれの興味に根差した研究テーマに取り組み、日々議論を重ねています。まだまだ萌芽的で未熟なテーマが多いのですが、メンバーの研究を簡単に紹介していますのでぜひご覧ください。→RESEARCH
幹細胞オルガノイドの培養実験と三次元バーテックスモデルによるシミュレーションを組み合わせ、眼杯組織の形態形成における力学的な機構を解明しました。これにより、組織全体の変形が個々の細胞の力発生にフィードバックされる機構を明らかにしました。→FEEDBACK
三次元空間における多細胞ダイナミクスを網羅的に解析するため、組織の三次元動態を1細胞の解像度で記述する数理モデルを開発してきました。その高い汎用性により、胚発生やがん疾患などにおける様々な多細胞ダイナミクスを定量的に解析することが可能です。→3DVERTEX
私たちの研究室がある生命科学研究所(Nano-LSI)は、文科省の世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)により2017年に設立された新しい研究所です。生命科学・ナノ計測学・有機合成化学・数理科学などの異分野が集合し、外国人研究者も多く在籍する、学際的・国際的な場となりつつあります。
多細胞と聞くとマクロな現象を想像するかもしれませんが、実際には様々なスケールの現象があります。例えば、細胞間を繋ぐ接着構造やそれを足場とする細胞骨格などのナノレベルの分子動態と、多数の細胞から成る組織レベルの変形動態とが、スケールの溝を越えて作用し合う面白さがあります。
金沢大学 ナノ生命科学研究所
〒920-1192 石川県金沢市角間町
金沢大学 ナノ生命科学研究所 4階 403室
satokuda AT staff.kanazawa-u.ac.jp